法話

2016.03.21 娑婆

 私たちは、今の幸せがこのままずっと続くことを願ってやみません。が、この世は常に流れていて、一瞬とて留(とど)まることはないのです。しかし、ずっと今のままでありたいと願っても病気になったり、失業したりというように、何事も自分の思うようにならないのに、思い通りにしようとする。それが、苦の原因であります。
 娑婆(しゃば)とは、梵語(ぼんご)サハーの音写で、忍土(にんど)と訳され、楽しいことより、苦しいことの方が多いこの世を、耐えて生きていかなければならない世界という意味です。
 また、自分の思う通りに事を運ぼうとするから、衝突したり、摩擦(まさつ)があったり争うのです。そこでは、人々は、憤(いきどお)りを感じたり、恨みを持ったり,妬みを持ったり、怒ったり、心の中は煮えたぎる湯や炎(ほのお)のようであったりするわけです。
お釈迦様は、世間を「一切は燃えている」。法華経に「この世は燃えさかる家のようであり、安んじることはない」と表現されています。その火とは、貪(むさぼ)り、瞋(いか)り、痴(おろ)かさであり、これを三毒の煩悩(ぼんのう)といいます。

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